2014年8月28日木曜日

EBウイルスゲノム量のカットオフ値の由来

EBウイルスゲノム量のカットオフ値の由来は、木村宏氏の論文「Quantitative Analysis of Epstein-Barr Virus Load by Using a Real-Time PCR Assay: Journal of Clinical Microbiology, 1999, 37(1):132」から来ています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC84187/




上記は論文の図表からの引用ですが、10^2.5コピー/µg DNAでラインを引くと、CAEBVは全てラインの上に、免疫正常者の対照群では全てラインの下に来ています。

これをもとにカットオフの目安を、10^2.5コピー/µg DNAとしたと思われます。


ここででてくる、PBMNCとは、Periopheral blood mononuclear cells の略で、末梢血の単核細胞中のウイルス量を調べていることになります。
つまり単位は、「末梢血単核細胞DNA μg当たりのコピー数」というわけです。

単核細胞とはなんぞや、ということになると、リンパ球や単球、マクロファージなどが該当します。


一般的な検査会社による検査対象としては、

  • 全血
  • 血漿
  • リンパ球

があるといいましたが、リンパ球が比較的近いということになります。単位もコピー/μgDNAです。
リンパ球と単球で、ウイルス存在確率が大幅に違う場合は別ですが、おおよそ同様とした場合は、同じ基準が概ね当てはまるのではないかと思います。


では、全血と血漿の場合はどう考えるべきでしょうか?
どちらも単位はコピー/mlです。

一度、同日検体を全血と血漿の両方で検査をしたことがありますが、
全血 11,000 コピー/ml、血漿 900 コピー/mlでした。
また、上記をコピー/μgDNAに換算すると、1,000~2,000ではないかという話もききました。


同じく木村宏氏の論文「Clinical and virologic characteristics of chronic active Epstein-Barr virus infection : blood 2001 98:280-286」に、末梢血単細胞と血漿での結果の相関について述べられています。



一見相関関係はありそうですが、

  • PBMCが高い群だけの結果であること
  • 血漿の結果が感度以下ということが比較的あること

などから、換算はできないと考えたほうが無難でしょう。

現状では、リンパ球で検査をだすことがよいと思われますが、血漿や全血で行った場合は、ある程度上昇しているという判断はできるかもしれません。


ここで、疑問がわいてきます

DNA量が上昇していることは異常なのか?健常人で上昇することはないのか?

次でこれについて述べたいと思います。