これはCAEBV!?
いままで述べてきたように、一過性のウイルス再活性化も同じような症状や検査値を示すため、ウイルス再活性化とCAEBVを区別(鑑別)する必要があります。
医療の世界で、診断をつけるうえで重要なものは、事前確率です。
つまり、どのくらいその疾患の頻度があるかです。
EBVウイルス再活性化については、文献が乏しく、実際の新規発症率・有病率を知ることはできませんでした。なので、かわりに同じヘルペスウイルスのウイルス再活性化である、帯状疱疹の頻度から類推することにしました。
各種文献を見ると、帯状疱疹の年間新規発症率は1000人に4人程度のようです。
帯状疱疹ウイルスの感染率はほぼ100%ですが、EBVの日本での感染率は、2~3歳で約70%、20歳以上で約90%です。
「帯状疱疹とEBVウイルス再活性化の頻度は同じ」と仮定すると、EBVウイルス再活性化の年間新規発症率は、1000人に3.5人程度と考えることができます。
CAEBVの新規発症率は、難病情報センターによると、平均23.8人/年。1000人に0.0002人です。
ウイルス再活性化:CAEBV = 3.5:0.0002 = 17500:1
上記は極めてシンプルな仮定をもとに算出した値ですが、だいたいの傾向はつかめると思います。
持続する発熱、倦怠感、咽頭痛などがあり、EBVウイルス量を測定したら高かった!
これはCAEBV!?
おそらくですが、CAEBVの確率は1%未満ではないでしょうか。
もちろん入院が必要な状態では、もっと確率は高くなると思いますが、少なくとも症状が軽い場合は、EBVウイルス量の検査する必要性は乏しいといえるでしょう。
とくにCAEBVは治療が限られているため、早期発見早期治療とはいかないことも、検査の必要性を低くします。
次では、CAEBVの治療について述べたいと思います。