2014年4月28日月曜日

EBウイルス抗体価の異常

CAEBV診断指針の主要決定項目は、
2) 血液検査などでEBウイルスが異常に増えている
であると前回いいました。今回はこれを詳しくみていきます。

元の文章は、
2) VCA, EA抗体価高値を伴う異常なEBウイルス抗体反応または病変組織(含末梢血)におけるEBウイルスゲノム量の増加
ですが、2つの要素にわかれていて、
2-a) EBウイルスの抗体価が異常である
2-b) EBウイルスゲノム量が増加している
となっています。

もともと、ウイルスなどは、直接測定することができず、ウイルスへの免疫反応である抗体の値を間接的に測定していた(2-a)が、最近では検査方法が発達して、直接ウイルス量を測定することができるようになった(2-b)、ということで2つにわかれています。
とはいえ、直接的なウイルス量の測定は、簡単にできるものではなく、最初は抗体価で見ていきましょうとなると思います。


2-a) EBウイルスの抗体価が異常である
については、補足事項に内容があります。
2. VCA、EA抗体価高値とは一般にVCA-IgG抗体価640倍以上、EA-IgG抗体価160倍以上がひとつの目安となる。加えて、VCAおよびEA-IgA抗体がしばしば陽性となる。 

EBVに関連する抗体はいくつかあります。
CDCのホームページによると、

  • Viral capsid antigen (VCA)
    • 抗VCA IgMはEBV感染の初期に現れ、通常4~6週で消失する。
    • 抗VCA IgGはEBV感染の急性期に現れ、発症から2~4週でピークとなり、少しずつ減りながら残りの人生の間持続する。
  • Early antigen (EA)
    • 抗EA IgGは病気の急性期に出現し、通常3~6ヶ月後には検知できないレベルに低下する。多くの人では、EA抗体の検知は、急性感染のサインだる。しかし、20%の健康な人でも、年余にわたってEA抗体が認められる。
  • EBV nuclear antigen (EBNA)
    • EBNA抗体は、通常の免疫傾向テストによって測定され、EBV感染の急性期には認められないが、発症2~4ヶ月でゆっくり出現し、残りの人生の間持続する。他のEBNA酵素免疫分析(EIA)では、偽陽性結果が報告されている。

SRLのホームページに推移についてわかりやすい図があります。

(上記ページから転載)


診断基準補足事項のVCA-IgG抗体価640倍以上、EA-IgG抗体価160倍以上ということは、回復期レベルの状態が、持続している=EBV感染が持続している、ということになります。

ちなみに、IgAは粘膜免疫の主体です。IgAが高値ということは、EBV感染が粘膜(特に咽頭)の感染を生じていることを示しています。

また、抗体価○○倍となっていますが、検査法によってこれは異なります。○○倍として結果が表現されるのは、FA法(蛍光抗体法)のことであって、EIA法(酵素免疫分析法)では2.2などと表示されます。換算表は提示されていないので、どの程度が高値であるかは、経験的判断または検査会社へ問い合わせる必要があります。


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